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右手で描いた暇つぶし  語り部田宮My小説を載せていきます。ただ、それだけだと寂しいので、ぼくが日々感じたことや考えたことを徒然なるままに語りますね。 

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小説:片川優子『ジョナさん』

   ↑  2011/08/16 (火)  カテゴリー: 感想等 ※時々ネタバレ注意報
 どうも田宮です。

 少し風邪気味なのか鼻水が止まらんので今日は早めに切り上げての帰宅。喫煙席に座っていたので、隣の人の煙草の煙が粘膜を刺激してやばかった。やはりこの温度差のある季節になると体を壊しやすい。気をつけよう。
 甲子園も盛り上がってるようですけど、青森の光星学院はまだ残っているようですね。できればベスト4まで行って欲しいです。

 じゃあ連続で小説の感想を。
 

 『ジョナさん』片川優子/講談社文庫
 「私はこれからどんな大人になるんだろう」って。
 高校2年。いちばん焦って、いちばん恋して、いちばん輝くころ。そして、いちばん考えるんだ。
 毎週日曜、死んだおじいちゃんの愛犬と公園へ行く。これが高校2年、チャコの習慣だ。しかしのどかな風景とは裏腹に頭の中は悩みでいっぱい。大学受験、親友との大喧嘩、そしてバラバラな家族。青春まっただ中って感じだけど当人は息苦しいことこの上ない。そしてさらにチャコは出逢ってしまう――恋に。(講談社


 昔この人の『佐藤さん』を読んでとても面白かったので著者買い。

 著者が高校2年で書いた本書、若いからこそ書けた瑞々しさと(よい意味での)強引さを感じました。
 内容や文章はそれほど凝ったものではなく、平凡なものです。
 ――「だってもうちょっと経ったら日本人の四人に一人がお年寄り。たぶんさらにもうちょっと経ったら二人に一人がお年寄り。そして私も仲間入り。もうこうなったら『老人と海』どころじゃない。老人の海になってしまう。お、ちょっとうまいじゃんと思った自分に嫌気がさして、私はまたため息をついた。」(P19)
 だいたいずっとこんなノリの文章。たぶんこれくらいなら文芸同好会の誰かが書いてもおかしくない。ただ、この平凡さの中にあって人を惹き付ける何か、これを考えることは物書きにとって勉強になると思います。まあそれでも光る文章はたびたびありました。たとえば、
 ――「しただろうな、と即座に思った。私はきっと、恋をした。どんな状況だったとしても、絶対に私はこのきれいな瞳に恋をするのだろう。それ以外の考えなんて思い浮かばないくらいジョナさんの目はきれいで、私はどうしようもないくらいジョナさんのことが好きなんだと気づいた。」(P146)

 内容は、主人公の高校二年生チャコが、犬のギバちゃんと公園でゲートボールを観戦しているときに出会った人に恋をするというものですが、中心となるのはそちらよりも親友トキコとの話。トキコは母子家庭で、それが原因で学校でいじられたりします。しかしクールなトキコはそれほど気にした風でもなく、むしろその度に怒るのはチャコの方。二人はそんな関係です。
 少し様子が変わってくるのは、トキコから大学には進学しないと宣言されてから。この出来事を発端として、チャコは、自分だってトキコのことを偏見の目で見ているんじゃないかという自己矛盾に気がつく。しかし、ここは非常に若いなーと思ったところ、
 ――「人間学歴じゃないよね? イエス。大切なことはもっと別のことでしょ? イエス。『くだらないことにとらわれて、なにも見えなくなってしまうのは悲しいこと』だよね? ザッツライト。」(P149)
 といった感じで速攻解決。いやー、ここは読んでてニヤニヤしました。やっぱこの強引さは若い時にしかできない思考だよなあと、それが未熟なんだとしても。

 テーマとしては伊坂幸太郎の『重力ピエロ』に近いものがあると思いました。もちろんそれほど重くなく、この本ではその問題は意外とすんなり終わっていきますが。それに、家庭環境だけでなく、もっと広く青春の悩みが描かれています。

 こういう環境で育てばああいう人間になるだなんて、そんな必然はないんだから、誰しもが自分はどう生きるのかを試されている、だとすれば、時にどう生きるのかに迷って、自己嫌悪に陥る日もあるだろうけど、そういうときは自分で悩んで答えを出すしかないんだと(「悩みなさいよ」(P165のトキコのセリフ))、そういう当たり前なことを、ただ当たり前に気づかせてくれる、そんな本でした。文句なしにおすすめ。


ジョナさん (講談社文庫)ジョナさん (講談社文庫)
(2010/10/15)
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佐藤さん (講談社文庫)佐藤さん (講談社文庫)
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