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右手で描いた暇つぶし  語り部田宮My小説を載せていきます。ただ、それだけだと寂しいので、ぼくが日々感じたことや考えたことを徒然なるままに語りますね。 

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小説:『英雄のいた時代』(1)

   ↑  2011/08/20 (土)  カテゴリー: 草稿
「昔はね、たくさんの英雄がいたんだよ。」
 首を長くして待った夏休み直前の、歴史の授業の時間だった。先生は何気なく言ったのだろうが、その「英雄」という響きに、当時小学生であったぼくは、瞬く間に心を奪われた。強くて、かっこよくて、悪からみんなを守る英雄。単純なイメージがいわし雲みたいに列をつくっては飛んで行った。
「先生っ!」ぼくは目を輝かせて手を挙げた。前の席で寝ていた大八木がびっくりして、うわあと情けない悲鳴をあげて起きたので、クラス中が笑いに包まれた。みんな夏休み前で気が抜けているのだ。
「英雄ってどういう人達だったんですか? やっぱ、素手で岩砕いたりできたの?」
 また笑いが起こった。大八木が反撃とばかりに、「お前ヒーローショーの見過ぎだぞ!」とからかってきた。
「うるせー大八木。お前こそ、いっつもヤギ数えてるから寝てばかりなんだよ。いったい今日で通算何兆匹目のヤギを数えたんだ?」
 言ったなこの野郎、そっちが先に言っただろ、なんだやるのか、望むところだ、とけんか腰になる二人に、クラスはやんややんやの大盛り上がり。それじゃグラウンドでやりますかと、威勢良く立ち上がろうとしたところで、先生が穏やかな声を上げた。
「おーい、お前らそろそろ落ち着け。特に、蔵木、さっきの質問についてはもうどうでもよくなったのか?」
 すっかり忘れていたぼくは、大八木のことなど放って大人しく席に着いた。大八木も不完全燃焼気味に席に着く。そしてまた、クラスも急激に熱を冷やして眠りに着く。
「よろしい。蔵木、英雄についてだが、そこは小学で教える内容じゃないから答える気はない。」つかの間の大ブーイング。
「先生そりゃあないよ。生徒の興味関心を育むのが、先生の仕事じゃないの?」
「まあそうがっかりするな蔵木。お前がそんなに勉強熱心なのも珍しい。そこで先生考えたが、夏休みの宿題で読書感想文があるだろ。それの代わりに、お前には『英雄』に関しての自由研究をやってもらおうか。」
 自由研究? なんだか難しそうだ。誇張でなしに、ぼくは勉強が得意ではない。確かに「英雄」のことを調べるのは面白そうだったが、日記すらまともに書いたことのない自分に、そんな大仕事ができるようには思えなかった。
 苦しげな表情で悩むぼくに対して、先生はひとつアドバイスをくれた。
「蔵木には確かおじいちゃんがいたな。どうしても分からなかったら、おじいちゃんにこう聞いてみなさい。『英雄条項って何?』てな。」
 先生は、なんだか勇ましいような哀れんでいるような許しを乞うているような、とにかく複雑な顔でぼくを見ていた。その顔を見て、ぼくはさっきまで思い浮かべていた「英雄」のイメージに、少しだけ暗雲が立ち込むのを感じた。強くて、かっこよくて、悪からみんなを守る英雄? ノーノー、現実はそんなに甘くはないのだよ、ぼうや、誰かがぼくにそう語りかけていた。   (続)

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2011/08/20 | Comment (0) | Trackback (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ |

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