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右手で描いた暇つぶし  語り部田宮My小説を載せていきます。ただ、それだけだと寂しいので、ぼくが日々感じたことや考えたことを徒然なるままに語りますね。 

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法学生だし、たまには法律書をおすすめしてみる

   ↑  2012/03/16 (金)  カテゴリー: 感想等 ※時々ネタバレ注意報
 どうも田宮です。

 今回は、中野哲弘『わかりやすい債権総論概説』(信山社)の紹介をします。
 私のサイトはもともと文学サイトのつもりで始めたのですが、最近は、法学や哲学などが混じり始めてどうにもカオスな様相を示してきました。でも私が興味ある文学・法学(社会学)・哲学という3分野は、意外とそれぞれ関連が深いので勉強してみると面白いです。私は法学生ですが、ぶっちゃけ法学より文学の方が詳しかったりしまして(哲学<法学<文学だと思います)、おそらくそういった面は他の法学生の方と私の法学に対する考え方の違いにもなっているのかなと、最近では感じています。例えば法律書に対して文章の読みやすさをかなり重視したりと(この点では道垣内弘人先生と中野貞一郎先生と藤田宙靖先生の文章は素晴らしい)。

 それじゃ戻って『わかりやすい債権総論概説』の話を。

わかりやすい債権総論概説―民法概説〈4〉 (民法概説 (4))わかりやすい債権総論概説―民法概説〈4〉 (民法概説 (4))
(2005/01)
中野 哲弘

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 この本はとてもマイナーで、誰かにすすめてみても、読んだことのある人には今までお目にかかったことがありません。ためしにググってみても、触れている人はお一人だけでした(その人は隠れた良書だと褒めていました)。
 まあそれもそのはずで、債権総論という分野は、中田裕康先生や潮見佳男先生の教科書がとてもよくできていて普及しているため、それ以外の教科書がそれほど必要性がないという事情があるのです。
 ただしこの2冊は内容が高度かつ詳細で厚みもあるため、読みこなすのはかなり大変です。私も学部3年に債権総論の講義で中田先生の教科書を使っていたのですが、正直初学者がこの本を読んでも無理だなと感じ、講義ではもっぱら大学の先生のレジュメを読んでました。やはり初学者は別の簡単で薄い本を読んでから、上記の2冊を読むべきなのでしょう。
 ちなみに学部の講義では、nomikaの奴が指定されていましたが、私は一度本屋で読んでなんか微妙だと感じたので使いませんでした。でも使っている友達は初学者はこれでよいとも言っていたので、合う人には合うのだと思います。しかし私としてはこの『わかりやすい債権総論概説』の方が好きです。

 『わかりやすい債権総論概説』には次のような特徴があります。
【良点】まず、著者が裁判官であるからか、文章が平易でムラがない。また、民事訴訟法、民事執行法、破産法などとの関連事項が類書よりも多く説明されている(債権総論の教科書でなく民事訴訟法なんかの教科書で説明される事項を含んでいる)。例えば、債権者代位権の箇所で、債務者が債権者代位訴訟に参加する手続は次のように説明されている。
 

「(代位訴訟提起を知った)債務者Bが同訴訟に参加したいと考えるのであれば、もし債権者Aの代位原因を争わないときは、AC間の訴訟にBが原告たる債権者Aのために補助参加する手続を執るべきものと考えられます。一方、もし債務者Bが債権者Aの代位原因を争うのであれば、Bは固有の立場を有することになりますから、AC間の訴訟に独立当事者参加をするべきであり、(中略)独立当事者参加をしても民事訴訟法142条にいう、重複する訴えには当たらないと(判例は)しています」(pp120)。


 弁済の場所と裁判管轄について。
 

「弁済場所に関する民法484条は、民事訴訟における土地管轄に関し、重要な意味を持っています。すなわち、債権者が原告となって債務者に対し債務の履行を求める民事訴訟を提起しようとする場合、どこに所在する裁判所に訴えるのかという問題です(土地管轄)。これにつき民事訴訟法はその4条1項で被告(債務者)の所在地の裁判所に提起できることを定めていますが、そのほかに、5条1項1号で、前記のような財産権上の訴えについては義務履行地の裁判所にも提起できると定めています。そして義務履行地とは、債務の場合は弁済の場所のことですから、持参債務の原則が適用になる通常の債務の履行に関する民事訴訟については、債権者の住所地の裁判所にも土地管轄があることになるわけです」(pp177)。


 さらにどの箇所でも具体例が豊富なので、抽象的な債権総論を具体的にイメージしやすいです。あとは頁数が300頁と初学者でも挫折しない程度にまとめられているのも助かります。

【悪点】しかし頁数が少ないため、判例や学説の説明はかなり省略されています(nomikaは判例が多く扱われている点で優れています)。債務不履行の箇所では当然ながら伝統的通説である「三分体系」でのみ説明され、平井先生なんかの「統一的要件説」については一切ノータッチです。判例についても結論のみで理由はほとんど書かれていないですし、たまに理解に争いのある判例を一方の理解のみで書いたりしています。例えば受領遅滞の箇所では、法定責任説と債務不履行説の違いは非常に分かりやすいのですが、判例の立場についてはこう書かれています。
 

「判例の態度は未だ一義的に明確でなく、例えば、最判昭40.12.3は受領遅滞を理由とする契約解除を否定して法定責任説の立場をとるようですが、その後の最判昭46.12.16は受領遅滞の要件につき債権者の有責性を認定して損害賠償義務を認めていますので債務不履行説の立場をとっているようです」(pp99)。


 確かに前半の判例については正しいのですが、後半の判例の理解はどちらかと言うと債務不履行説寄りの説明になっています。中田先生の教科書や潮見先生の教科書では、後半の判例については「法定責任説を前提としつつ、具体的事案において信義則上の義務を認めたものと理解するのが適当である」と書かれていますので、そちらの理解がやはり一般的になるかと思います。
 それと民事訴訟法などに関する説明が多いというのも、まったく民事訴訟法などを勉強したことがない人にとっては混乱のもとになるかもしれません。

 というわけで、『わかりやすい民事訴訟法概説』は、講義で債権総論や民事訴訟法などはひととり学習したが、両者の関連がよく分からなかったり、イマイチ具体的なイメージがわかなくて理解がまとまっていないという人におすすめしたいと思います。

 まあいずれにしろ、どんな学問でも大事なことはとにかく1冊をまずは読み切ることにありますから、教科書を選ぶ際には自分がこれなら読み切れそうだと感じたものを選ぶべきでしょう。
 参考になれば幸い。それでは。

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