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右手で描いた暇つぶし  語り部田宮My小説を載せていきます。ただ、それだけだと寂しいので、ぼくが日々感じたことや考えたことを徒然なるままに語りますね。 

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『リーガル・ハイ』

   ↑  2012/08/25 (土)  カテゴリー: 徒然日記
 私はここ5年以上ドラマを見た記憶がなかったが(完璧に知っているのは『女王の教室』まで)、最近『リーガル・ハイ』というドラマを見た。裁判モノということもあって大学院でも噂を聞いていたのだが、いつ放送してるか知らんかったし、そもそもテレビを点ける習慣が消滅していたため、放送中は結局見ないまま終了。私はまったく他の人の話についていけない。
 ところが、実家に帰省したときテレビを見るとなぜか『リーガル・ハイ』が映っていた。どうやら、青森ではフジ系列がないため、『リーガル・ハイ』は録画放送で丁度絶賛放送中だったもよう。『笑っていいとも』が午後5時に放送するのもそうだけど相変わらずのカスである。しかも、そのとき見たのは3、4話という中途半端ぶり。しかし、これがなかなか面白かったので、仙台に帰って来てから時間をとって1話から全部見てみた次第である。

 結果的には、見てよかったと思う。自分が目指している職業が中心となっているからか、とても面白かった。弁護士に興味がある人はこれを見るとけっこうテンションが上がるだろう。ただ、物語としては、ラストは惜しくも画竜点睛を欠く感がある。

 簡単に内容を説明すれば、正義という理想を追いかける若手の黛弁護士(新垣結衣)が、裁判で勝つために手段を選ばない人格最低だが無敗の古美門弁護士(堺雅人)の事務所に雇われ、そこで様々な裁判を経験してゆくというもの。刑事事件はもちろんとして、環境訴訟、政治汚職、離婚訴訟、親権停止審判、遺産相続、公害訴訟、不当解雇というように、当たり前だが裁判の中でも派手なものが題材として選ばれている(過払金返還訴訟がないのが少し意外だった)。
 もっとも、裁判のシーンは短いしそこまで法律法律!っとはしてないので、これを見て裁判とか法律に詳しくなるとかはあんまりないだろう。あくまでも娯楽として見るべきものだ。それでも、古美門弁護士の弁論技術はふつうに現実でも通用する気がしないでもない。ちなみに法律的な誤りは特にないはず。遺産相続の回での「判決理由に記載されているから争えない」的なところが、少し微妙なくらいだろう(たぶん信義則で遮断できると思うが……)。

 個人的には親権停止審判の回が好きだった。普段は相手の秘密情報を掴んで脅すとかする古美門弁護士が、珍しく弁論技術ではなく心で説得しようとしているのが印象的。ネタバレしたくないので内容には触れないが、こういう裁判は実際にもあるのだろうか、とちょっとだけ悲しくなった。
 また、この回で親権停止審判の申立てをするのは子どもの側からだが、このように子どもから申立てできるようになったのはかなり最近のことなので(確か今年の3月の改正だったかな?)、これをぶち込むのかと驚いた。他の話でも時事ネタ的な要素を盛り込んでいるけど、そういう社会的なメッセージ性があるのがこのドラマの良い部分と思う。
 それと、あまり時間がないという方でも、9話の30分〜くらいの所はぜひとも見て欲しいと思う。ここのシーンは痺れる。堺雅人があまりにも名演技ということもあるし、それに加えて、「だから何だってんだああああ!」のセリフがかなり心に響く。このセリフがあるからこそ、古美門弁護士という男の、小手先だけではない、底の見えない豊かなキャラクターが成立できていると考えられる。
 ……検索してみたらYouTubeに上がってたわ。やっぱすげー。
 http://www.youtube.com/watch?v=YrQy3ekxkM0

 全体を貫くテーマはやはり「弁護士が追及すべきは依頼人の利益か、それとも正義か」というもの。非常に古典的なテーマだ。先述のとおり、黛弁護士が正義説論者であり、古美門弁護士が依頼人の利益説論者となっている。「人は神ではない。弁護士は依頼人のために死にものぐるい勝訴判決を取れ。」が古美門弁護士のモットー。これに反発する黛弁護士は、刑事事件で依頼人である被告人に対して「この人有罪だし無罪にならない方がいい」とか内心思ったりする。あと裁判の相手方に手を貸そうとしたりもする。その度に古美門弁護士に「それはお前のエゴだ。」と怒られる。
 そんな黛弁護士も、様々な裁判の中で葛藤してゆくうちに、少しずつではあるが、古美門弁護士の考え方を理解し始める。他方で、理解しようとしても決して相容れることのできない部分も。そんなこんなで結局、黛弁護士は古美門弁護士の事務所を辞め独立する(ここはどうせ流れで分かるのでネタバレした)。そしてラストで2人は法定の両極に立つこととなる。

 私が不満があるのはこのラスト、黛弁護士の弁論の部分。
 「確かに、正義なんてこの世にないのかもしれない、裁判で勝った者が正義なのかもしれない。しかし、人間は正義を愛し正義を求めている。裁判は勝ち負けを争うゲームではなく、正義を追及し、皆が幸せになれる方法を探す場所である。正しい者が報われ幸せになれるなんて、幻想なのかもしれない、現実はそうでないかもしれない。しかし、人は夢を見るから、理想を叶えたいと思うから諦めがちな現実を生きていこうと思える。だから私は、理想が現実を覆せる日が来ると信じている、必ずその日は来ると。」(うろ覚えかつ意訳)
 ひるがえって3話らへんに次のようなシーンがある。抽象的に言うと、黛弁護士はXが勝つことを正義だと考えて、Xに助言を与え、相手であるYを負けさせようとしたところ、それを聞いていた古美門弁護士は彼女に対して、ZというYから仕事を請け負う者がいて、ZはYが裁判で負けてしまうと、仕事を失いこれから生きていけなくなるだろうという事実を教えた上で、こう言った。「お前が正義だ何だのと言っているのは、目の前にいる弱者に対して抱いている同情を正当化したいだけであって、視野の狭い自己満足に過ぎない。」(もちろん意訳)

 黛弁護士は、正義が勝つことが理想だと言う。異論はない。では、「正義」とは何なのか、それは自己満足に過ぎないのか。彼女が古美門弁護士に答えなければならないのはこの点である。それなのに彼女の答えは、「人は理想なくして生きられない」。率直なところ私は詭弁と思った。
 私が思うには、「正義」とは固定的な存在ではなく流動的な存在である。それは時代により、文化により、国により、社会的立場により異なる。だから私にとって最も端的な「正義」の意義とは、「多数決結果」だ。そしてもし正義のイデアがあるとするなら、それは追い求めることしかできないものであり、永遠に到達できないものである。なぜなら、決して変わることのない多数決結果というものは、ほとんど存在しないだろうからである。

 では、できる限り「正義」に近づくためにはどうすればよいか。弁護士は何をすればよいのか。その答えは難しい。古今東西未だ明確な答えは現れない。2人の弁護士のあり方はどちらも間違っていない。しかし少なくとも明らかであるのは、黛弁護士がただ己の感情を正義だと考えている限り、「正義が勝ち、正しい者が報われ幸せになることが理想であり、それはいつか実現される」などという宗教家みたいな言葉の中身はゼロだ!ということである。
 「われわれは、同じ人間だ。でも、考え方、感じ方は同じではない。そういうわれわれが、できれば仲良く、少なくとも傷つけ合うことなく生きていくにはどうすればいいのだろう。主観を超えた『正しさ』は、それぞれの価値観自体ではなく、異なった価値観の調和だ。そう、違いがあることは希望でもありうる。和音を思い浮かべてみよう。単純なド・ミ・ソの和音でいい。あなたはドの音を響かせてほしい。わたしはミの音を奏でよう。もう一人にはソの音をお願いしよう。同じ音では和音にならない。それぞれが違う音で奏でるからこそ和音が響く。オーケストラのことを考えてみよう。同じ楽器をいくら集めてもオーケストラはできない。チェロはチェロの、フルートはフルートの、トランペットはトランペットの、それぞれ独自の音色をもっているからこそ、オーケストラが成り立つ。『正しさ』の理想は、オーケストラの交響楽だ。それぞれが異なり、もっとも自分らしくしていることによって、美しい音楽を奏でることだ。いうまでもなく、理想までの道程は遠い。だが、出発点は明確だ。価値観の違いを認めること。これは終わりではない。『正しさ』の探求はここから始まる。」(小林和之『おろかものの正義論』51-52頁)

 ということで、ラストはあまり好きではなかったが、全体としては十分見るに値するドラマである。久しぶりに書くと長くなってよくない。さよなら。

 
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